失敗しない不動産投資とは。物件の良し悪しはどうやって判断する?

物件調査ルーティーン 不動産投資

多くの投資物件の中から何を基準に良し悪しを判断して、買うべき物件を選び出すのか、疑問に思ったことはありませんか?

投資物件の基本的な調査は全ての物件に共通で、とてもシンプルです。
簡単な作業をルーティーン化することで、失敗しにくい不動産投資ができるようになります。
不動産会社に詳細資料を請求する前に、本格的な検討に値する物件かどうかを判断してみましょう。

この記事では簡単な6つの調査項目と、具体的な確認方法を説明していきます。

まずは自分に買える物件を把握する

自分に買えない物件であれば検討してもムダです。
融資を受けて買う前提ならば「いくらまで・どんな条件で」融資してもらえるのか、事前に確認しておきましょう。

問い合わせした不動産会社の担当者に相談したり、直接金融機関に相談に行って聞くこともできます。
用意できる自己資金と借りられる条件で、おのずと買える物件が決まってきます。
金融機関によっては、対象エリアも決まってきます。

不動産投資をスタートするにあたっては、正社員や公務員・士業などの属性が高く自己資金が多いほど、購入できる物件の幅が広がります。

自己資金が貯まっていない人は、今はまだ不動産投資を検討する時期ではありません。
属性と収入が高くても貯金できない体質の人は、「買えますよ」と言い寄ってくる不動産会社もあるでしょうが、不動産投資には手を出さない方が賢明です。

属性が低くても自己資金をしっかり用意できる人は、小さな物件を現金で買ったり、頭金の割合を高くして残りの金額は融資を受けるなどして、不動産投資をスタートさせることができます。

利回りは妥当か

投資するエリアを決めてずっと物件情報を見ていれば、それぞれの物件の利回りが高いか低いか分かるようになります。

でも、あまり土地勘がないエリアの物件を調べることも出てくるでしょう。
その時に、その物件の利回り(値段)が妥当かどうかは、ネットで簡単に調べられます。

同じエリアの似たような条件の売り物件の利回りや価格確認する
楽待 健美家

実際にどのように調べるのかやってみましょう。

東京都世田谷区の駅徒歩8分、築10年、利回り5.5%の中古アパートを紹介されたとしましょう。

投資物件情報サイトで「世田谷区 木造アパート 築年数5〜15年 徒歩10分以内」で検索してみます。
2021年4月現在、世田谷区で売り出されている上記の条件のアパートの利回りは概ね4〜5%台です。

路線や最寄り駅によって利回りが変わりますが、紹介された5.5%のアパートは相場から外れた利回りの物件ではないことが分かります。

もし、同じエリアの物件に比べてかなり利回りが高い(価格が安い)のであれば何か理由がある可能性が高いです。

代表的な理由には以下があります。

・再建築不可
・借地権付き
・民泊、シェアハウス
・空室だらけ
・築古のビルやマンション(耐用年数が残り少ない)
※ 耐用年数:建物の構造によって耐用年数が定められている

利回りを解説した過去の記事です。
不動産投資の利回りとは?物件の稼ぐ力やリスクを表すモノサシです

キャッシュフローが確保できるか

インカムゲイン(継続的に得られる収益)を目的とした投資をするなら、キャッシュフロー(家賃収入から経費を引いて残るお金)を確保する買い方ができる物件を買わなければいけません。

頭金と金利、融資期間が分かれば、毎月いくら手元に残るかざっくりと計算できます。

いくつかの項目を入力するだけでカンタンに計算できる試算表を用意しておいて、気になる物件が出るたびに確認することをお勧めします。
エクセルの試算表があれば、毎回3分で確認できます。

キャッシュフロー計算

返済額の計算は住宅保証機構のサイトがシンプルで使いやすいです。
ざっくりと試算する段階では、元利金等・固定金利で計算します。

キャッシュフローの重要性を解説した過去の記事です。
不動産投資で失敗しないためには「キャッシュフロー」の確保が絶対条件です

積算評価はいくらか

物件の積算評価に準じて融資額を決める金融機関が、少なからずあります。

積算評価額より融資残高が少ないと、その差額分に対して銀行からの評価が高まり、融資を受けやすくなります。
つまり2棟目、3棟目と買っていきやすくなります。

価格は5000万円、積算評価が3500万円の新築アパートがあったとします。
500万の頭金を入れて4500万の融資を受けて購入すると「4500万の借金に対して、3500万の評価しかない物件を保有している」ということになるので、次の物件の融資をしてくれる銀行は少なくなります。

土地が広いほど、建物が新しいほど積算評価が高くなります。
※ 土地の形状や接道によって、土地評価に80〜90%の掛け目が入ります。
※ 区分マンションの場合、積算評価はあまり関係ありません。

土地はどれだけ年数が経っても評価は大きく変わりませんが、建物は残存の法定耐用年数が短くなると評価はゼロに近づきます。

金融機関の中には、建物の法定耐用年数に関係なく、土地評価額に対して20年以上の融資をするところもあります。
そうした金融機関と付き合いができれば、建物の築年数にしばられない投資もできるようになります。

土地評価の出し方

路線価 × 土地の平米数

路線価は全国地価マップで該当住所の相続税路線価を調べます。
詳しい住所が分からない場合は、対象エリアをザッとみておおよその路線価で計算します。

全国地価マップの相続税路線価を表した地図です。

相続税路線価マップ
295Dと表示された道路に接した100㎡の土地の評価額を計算してみましょう。
295,000円×100㎡=29,500,000円
相続税土地評価額は2950万円です。

建物評価の出し方

建物延床面積㎡ × 再調達価格 ÷ 耐用年数 × (耐用年数 – 築年数)

・再調達価格:鉄筋コンクリート(20万)、重量鉄骨(18万)、木造(15万)
※金融機関によって、単価設定は異なります。
・耐用年数:鉄筋コンクリート(47年)、重量鉄骨(34年)、木造(22年)

築10年、建物面積120㎡の木造アパートの建物評価を計算してみましょう。
120㎡ × 15万 ÷ 22年 ×(22−10年)=982万

建物評価は982万です。

 家賃は妥当か

SUUMO等の賃貸情報サイトで、同じエリアの同様の条件の競合物件を調べます。

相場より高ければ将来家賃が相場に戻り、利回りが下がる可能性があります。
相場より安ければ家賃を相場に近づけることで、利回りが上がる可能性があります。
極端に安ければ、理由を確認した方がいいでしょう。

東京都世田谷区の京王線「代田橋駅徒歩8分・1K・20㎡・一部屋あたりの家賃が8万のアパート」の物件があったとして、この家賃が妥当なのか調べてみましょう。

1.「代田橋駅 賃貸  1K」で検索
2.賃貸情報一覧に対し「駅徒歩10分以内、占有面積〜25㎡」に絞って再検索
3.表示された一覧に対し「安い順」で並び替え

2021年4月現在、代田橋駅バストイレ付き1Kの最安値は管理費込みで4万台半ば、最高値は13万。
中間価格帯は6.5〜7.0万。

8万の家賃は少し高めと言えます。
高い家賃である理由がない部屋であれば、入居者の入れ替わりで家賃が下がり、利回りも下がる可能性があることが分かります。

広さ、構造、駅からの近さ、築年数などの条件で家賃は上下しますが、検討している物件の家賃が高めか低めか妥当か、近隣の物件を調べることによってある程度分かります。

需要はありそうか

Googleマップを見て、どんな人が住みそうか想像してみる

近隣にどんな施設があるのか、町の雰囲気、交通の便を確かめます。

工場や倉庫などが多いエリアであれば手頃な家賃の部屋が好まれるでしょうし、いくつもの大学へのアクセスが良い場所なら学生さんが、通勤しやすい場所なら会社員が住んでくれると想像がつくでしょう。

検討している物件が、そのエリアで需要がありそうかを予想します。

そのエリアの賃貸情報を検索してみる

同条件の賃貸情報を確認し、大量の空室情報が出てくるようなら配給過多でしょうし、逆にほとんど賃貸情報がないなら需要がないのかもしれません。

敷金0礼金0の物件が多いのは客付に苦労するエリア、敷金や礼金がしっかり取れる物件が多いのは人気エリアといえます。

災害リスクはあるか

河川や海に近い、崖のそばなどの物件は市町村のハザードマップで確認します。
洪水、津波、液状化、崖崩れなどのリスクが分かります。

ただし、ハザードマップで災害エリアと分かったからといって、問答無用で却下としなくてもいいでしょう。
例えば、河川の治水工事が進み過去50年以上洪水が起きていないなど、調べるとプラスの要素が分かることもあります。

保険である程度の災害リスクをカバーすることもできます。

まとめ

本格的に検討するべき物件かどうか、基本的な情報を見て短時間で判断できます。
物件の基本調査はルーティーン化しましょう。

前提条件
自分に買える物件を把握する

物件判断チェックリスト
利回りは妥当か
キャッシュフローが確保できるか
積算評価はいくらか
家賃は妥当か
需要はありそうか
災害リスクはあるか

慣れれば、15分程度で調べられる内容です。

とても簡単な調査ですが、最低限この項目を確認しておけば、不動産投資で失敗しにくくなります。
少なくとも「明らかに買ってはいけない物件」は避けることができるようになります。

参考になれば幸いです。

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