
不動産投資でよく聞くキャッシュフローってなんのことだろう。
キャッシュフローがなぜ大切なのかを知っておきたい。
この記事を読むと、不動産投資で副収入を得るために「キャッシュフロー」がなぜ重要か、どのようにしたら「キャッシュフロー」を確保した不動産の買い方ができるかが理解できます。
なおこの考え方は、本業からの収入が多く所得税を減らすためにわざと不動産投資で損失を出したい、という方には当てはまりません。
不動産投資におけるキャッシュフローとは何か
家賃収入からローンや税金、運営経費を引いて、「実際に手元に残るお金」です。
キャッシュフローがなぜ重要なのか
キャッシュフローで不動産を維持する
キャッシュフローは不動産を維持するために必要です。
不動産運営をしていると、様々な経費がかかります。
【経費例】
ローン返済、固定資産税、修繕費、管理費、客付広告費‥etc
これらの経費は自分の給料からでなく、物件が生み出すキャッシュフローから払うべきものです。
ローンが払えない、税金が払えない、となると不動産が差し押さえになり不本意に手放す、最悪は自己破産してしまうことになります。
適切な修繕が行われないと、
誰も住みたがらない
⬇︎
家賃が下がる/空室が増える
⬇︎
物件の価値が下がって売却価格も下がる
と、負のスパイラルです。
不動産投資は最後に売却して利益が確定するので、家賃を下げずに物件の価値を保つことは非常に重要です。
キャッシュフローで副収入を得る
副収入はキャッシュフローから生まれます。
そもそも何のための不動産投資なのかといえば、給与収入以外の副収入を確保したいから、という方がほとんどではないでしょうか。
手元になにも残らなければ、副収入になりません。
ましてや、経費を自分の給料から支払うようでは、不動産を持っているだけで負担になります。
毎月のキャッシュフローが口座に積み上がっていけば、心に余裕が生まれます。
公的年金だけでは不安を感じて、私設年金として不動産投資を検討する方もいらっしゃるでしょう。
では、老後のためにどのような買い方をするべきか。
結論は、老後まで待たずに買った瞬間からキャッシュフローが生まれる状態にしておくべきです。
「毎月たった1万円の支払いでマンションがあなたのものに!」といったたぐいの投資のように、ローンや不動産経費を自分の収入から補てんするような投資をした場合、物件を売却するまで、あるいはローンを返し終わるまで、会社を辞めることはできません。
収入減によって給料からの補てんが難しくなった場合、そのうえ新築で買った物件の価格が下落して売却してもローンが残る場合は、売ることも保有し続けることもできずに追い詰められます。
キャッシュフローで規模を拡大する
キャッシュフローは不動産投資の規模拡大に不可欠です。
物件を買うには頭金が必要です。
キャッシュフローが出る物件を徐々に増やしていくと、お金の貯まり方も加速度的に早くなり、さらに物件が買えるようになります。
キャッシュフローが出る物件を増やしていくと、お金の貯まり方がどのように変わるかを例に挙げます。
【例】物件を持っていない場合
給与から毎月7万づつ貯金していくと、500万貯めるまでに6年かかります。

【例】物件を持っている場合
給与から毎月7万と、キャッシュフローが月7万ある3つの物件からもそれぞれ貯金すると、1年半で500万の貯金ができます。

自分1人で貯金するよりも、自分の分身をたくさん作って全員で貯金する方が早く貯まる、そんなイメージです。
キャッシュフローの計算方法は簡単
計算方法
家賃収入 ― ローン返済 ― 運営経費 = キャッシュフロー
経費はどの程度かかるのか
ローンの返済率は家賃収入の50%以下が絶対条件
例えば家賃が月20万であれば、ローンは月10万以下ということです。
投資効率は落ちますが、返済率が低ければ低いほど安全に運営できるようになります。
運営経費のめやすは20%
税金や修繕費、管理費、募集経費などがこれに当たります。
物件の種類や大規模修繕の時期によって経費率は変わりますが、概ね20%とします。
- [新築か中古か]
新築は修繕費がゼロ、古い物件は修繕費がかかる - [RCか木造か]
RC(一棟マンション)は木造アパートよりも経費がかかる - [単身かファミリーか]
単身用は入れ替わりが頻繁で募集経費が上がり、ファミリー用は長く住む傾向があるので募集経費は下がる - [委託管理か自主管理か]
管理会社に支払う管理費は家賃収入の3〜5%、自主管理であれば0%
空室や家賃の下落は運営努力によって抑えることができる
需要のあるエリアでしっかり運営していれば、空室率は低くなります。
購入検討でおこなう試算では空室率10%としても構いませんが、実際の運営では5%以下を目指します。
- 需要のある地域、間取りであること
- 家賃、募集条件が適正であること
- 室内に不具合がなく、設備は古すぎず、清掃が行き届いていること
- 外観や共有部分は適切な手入れが行われていること
- 募集活動が適切に行われていること
家賃の下落については、管理と手入れが行き届いていれば築年数だけを理由とした家賃の下落は考えにくいでしょう。
- 新築の場合、最初の入居者が入れ替わり新築プレミアムが無くなった後に数%下落
- 中古の場合、適切なクリーニングと修繕、必要に応じた設備の入れ替え、最低限のリフォームを行っていれば、大きな家賃の下落は考えにくい
外壁も内装も設備も手入れをせずにほったらかしにしておけば、建物は劣化し家賃はどんどん下落して、入居者の質も下がります。
当然、それはキャッシュフローを圧迫します。
キャッシュフローは物件を購入した瞬間に決まる

頭金と融資条件でキャッシュフローが決まります。
低いキャッシュフローになる条件で融資を組んでしまった場合、改善するには家賃を上げる、借り換えする、繰上げ返済するという方法があります。
いずれも簡単にできることではありませんので、まずはキャッシュフローを確保する買い方をすることが大前提です。
キャッシュフロー確保のために、頭金の比率を上げる
物件購入にあたり、物件価格の2割の頭金を求める金融機関は多いです。
まずは自己資金を増やすことが大切です。
頭金の比率を変えた場合の試算
3000万円の中古アパート(家賃収入21万/月)を購入するにあたり
期間20年、金利1.5%で融資を受ける場合
頭金 | 融資額 | 月返済 | CF | 返済率 |
0 | 3000万 | 14.5万 | 6.5万 | 69% |
900万 | 2100万 | 10.1万 | 10.9万 | 48% |
上記の場合、返済率が69%で済むなら頭金ゼロで購入できた方がいいという考え方もあるでしょう。
しかし、運営経費20%を差し引けばキャッシュフローは11%。
貯金はなかなか増えず、空室があったり支出がかさむ月があればすぐ赤字になり、心が休まりません。
しっかり自己資金を蓄えて頭金は2割、場合によってはそれ以上の頭金で購入する方が、安定した運営ができます。
キャッシュフロー確保のために、融資の金利は低く、期間は長く取る
金利や期間は金融機関によって全く異なりますが、金利はなるべく低く、期間はできるだけ長くが鉄則です。
「どの金融機関が」「どのような物件に」「どのような条件で」融資をするかを事前に理解した上で物件を選ぶと効率的です。
期間を変えた場合の試算
3000万円の中古アパート(家賃収入21万/月)を購入するにあたり
頭金600万、借入2400万、金利1.5%で融資を受ける場合
期間 | 月返済 | CF | 返済率 |
15年 | 14.9万 | 6.1万 | 71% |
25年 | 9.6万 | 11.4万 | 46% |
期間が長ければ長いほど、頭金を少なくして購入してもキャッシュフローが確保できるようになります。
残存の減価償却期間(RCは47年、木造は22年など)に応じて融資期間を決める金融機関が多いですが、築古の物件に残存の減価償却期間を超えた融資をする金融機関もあります。
キャッシュフローを積み上げていくと、全てが好循環になる
自己資金が多ければ、不動産の購入や運営がやりやすくなります。
<不動産投資の好循環>
- 2棟目、3棟目、4棟目‥と、物件を買い進められるようになる
- より大きな物件を買えるようになる
- 自己資金が多いと銀行からプラスの評価を得られて融資を受けやすくなる
- 現金でも買えるようになる
<運営の好循環>
- リフォーム、設備の入れ替え、大規模修繕が適切に行えるようになり、物件価値を落とさずに保有できる
- いざというときに繰上げ返済ができる安心感がある
貯金と物件が増えてくると、心に余裕が生まれて会社に依存しなくてもいい生き方ができるようになります。
自営業であれば、仕事を選べるようになります。
自分や家族の病気や介護など、突発的な出来事にも経済的な面で心配することなく、落ち着いて対処できるようになります。
まとめ
不動産投資におけるキャッシュフローとは、実際に手元に残るお金です。
「家賃収入 ― ローン返済 ― 運営経費」で、キャッシュフローの額が決まります。
物件の運営、副収入の確保、投資の拡大にキャッシュフローは不可欠です。
キャッシュフローは物件を購入した瞬間に決まります。
頭金を多く、金利を低く、融資期間を長くすることによってキャッシュフローを多くすることができます。
キャッシュフローを積み上げると、全てが好循環になります。
せっかく不動産投資をするなら、経済的な不安から解放される投資をしたいですね。